「骨盤の傾きで走りが変わる!?前傾・後傾・中間位を知れば動きが変わる」

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■はじめに:骨盤は上手に使えてる?

「一生懸命走ってるのに、なんだか足が出にくい…」
「姿勢を良くしてるつもりでも、スピードが上がらない…」

そんな悩みを抱える子は、“骨盤”の使い方を見直すと、走りが一気に変わるかもしれません。

■ 骨盤は、身体の“中心”であり“起点”

骨盤は、上半身と下半身をつなぐ中心にあり、動きの起点ともいえる存在です。
股関節や背骨ともつながり、全身の動きに影響を与えるため、骨盤がどう傾いているか・どう使われているかによって、走りの質が大きく変わります。

■ 骨盤の傾きには「前傾」「後傾」「中間位」がある

種類   特徴                走り・歩きへの影響
前傾   骨盤が前に倒れる(お尻が出る)   脚が出やすく、加速しやすい/反り腰に注意
後傾   骨盤が後ろに倒れる(腰が丸まる)  脚が出にくく、重心が後ろに残りやすい
中間位  前でも後ろでもない自然な位置    最も効率よく動ける“ニュートラルポジション

一般的には中間位が良い姿勢になります。

骨盤を前傾にすると股関節は内旋し、「内股歩き」になります。

骨盤を後傾にすると股関節は外旋し、「がに股歩き」になります。

骨盤を中間位にすることで「まっすぐ歩き」ができます。

■ 子どもにもわかる!骨盤の傾き体験

実際に、子どもたちに「骨盤を前に・後ろに倒して歩く・走る」を体験させてみましょう。
• 前傾で歩くと…足が前に出やすくテンポも速くなりやすい
• 後傾で歩くと…足が上がらず、重たく感じることが多い

✅ この“歩きにくさ・軽さ”の違いを体験することで、自分の骨盤の使い方に意識が向くようになります。

■ なぜ骨盤は傾いてしまうのか?

日常のクセや体の使い方によって、骨盤の傾きは簡単に崩れます。

✅ 骨盤が傾く主な原因
• 股関節や太もも周りの柔軟性不足(=前傾がしにくくなる)
• 体幹の不安定さ(=安定しないので後傾になりやすい)
• 長時間の座り姿勢・スマホ使用(=後傾固定化)

➡ 子どもたちの姿勢を見れば、骨盤のクセも見えてきます。

■ 骨盤の“中間位”が動きの土台

最も重要なのは、「骨盤を前傾させること」ではなく“中間位”を保てること。

▼ 中間位とは?
• 骨盤が前にも後ろにも倒れすぎていない“やや前傾した自然な位置”
• 背骨のS字カーブが保たれ、バランスよく立てる
• ここから前にも後ろにもスムーズに動き出せる

▼ 子どもに伝えるならこう言おう
• 「お尻を引きすぎず、お腹も突き出さない」
• 「かかと・お尻・背中・頭を壁につけて立ってごらん。腰に指がスッと入ればOK!」
• 「お腹とお尻で身体をサンドイッチしてる感じ!」

など、少し工夫しながら伝えてあげましょう。

■ 動きの中で骨盤を“使う”ことが大事

骨盤は、動きを支える“土台”であると同時に、動きそのものを生み出す“起点”でもあります。

✅ 走るとき
→ 骨盤を前傾させながらスッと前に出ることで、足の動きがスムーズに!

✅ ジャンプするとき
→ 骨盤の位置で上方向への力の伝わり方が変わる!

✅ ストップ・切り返しのとき
→ 骨盤が自由に動くことでブレーキや方向転換がしやすくなる

■ 実際にできるチェック&トレーニング

🔹 壁立ちチェック
• 壁に背をつけ、かかと・お尻・背中・後頭部をつけて立つ
• 腰の隙間に手がスッと入れば中間位

🔹 骨盤前後スライド
• 壁に背をつけた状態で、お尻を前後に動かしてみる
• 骨盤の“動き”を感じられるようにする

🔹 その場歩き・その場ラン
• 中間位を保ったままその場で足踏み
• 骨盤がブレていないか・重心が安定しているかを感じる

■ 保護者・指導者へのアドバイス


• 「姿勢を良くしよう」と伝える前に、“骨盤がどうなっているか”を見てみましょう。
• 固める指導ではなく、“動ける・感じられる骨盤”を育てることが、良いフォームの土台になります。
• 「走りが重たく感じる」「足が出づらい」と悩む子には、骨盤の中間位・重心の位置から見直してみましょう。

■ まとめ:骨盤が変われば、動きが変わる!


• 速く走る子、軽やかに動ける子は、骨盤がうまく使えている
• 骨盤は固定するのではなく、“動かしながら安定させる”感覚が大切
• まずは自分の骨盤が前傾?後傾?中間位?を知ることからスタート!

走りを変えたいなら、骨盤から
今日から“自分で動かせる骨盤”を意識して運動していきましょう!!

のびのび

陸上競技の指導に21年携わる現役指導者。理学療法士。選手時代短距離で東海大会出場。怪我に悩む子ども達を支えたい思いから、身体の仕組みを深く学び続けています。「運動の楽しさ」と「自分の可能性」に気づいてもらいたい・・・そんな願いを込めて、保護者と子どもたち双方に役立つ運動・発達情報を発信中です。

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