「“走り出す瞬間”を変える!スタートに必要な身体の使い方とは?」

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■はじめに:スタートで差がつく・・・

「よーい、ドン!」の合図と同時に、すぐに加速できる子と、そうでない子。
この差は、どこから生まれるのでしょうか?

走る力を伸ばしたいという子どもにとって、「スタート」はとても重要な局面です。でも、ただ「速く走る」だけでなく、“走り出す瞬間”をどう作るかが大切なのです。

先日お話した「まっすぐ歩く」ことも、実はこのスタート動作の基礎。歩きで身体の使い方が整ってきた今だからこそ、次のステップとしてスタートに目を向けてみましょう。

■ スタートは“脱力”と“準備”から始まる

多くの子どもが「速く走るには、最初から全力で力を入れればいい」と思い込んでいます。ですが、実際にはスタートは“脱力”から始まるのです。

スタート動作には次の3ステップが必要です:

  1. 脱力して構える(余計な力を抜いて、反応できる状態にする)
  2. 反応する(合図やきっかけに素早く反応
  3. 瞬間的に出力する(地面をしっかり押し出す

力んでしまうと、かえって反応が遅れたり、重心が後ろに残ったりしてしまいます。大事なのは、「使える状態」で待つこと」なんです。

■ スタートで大切な3つの身体の使い方

① 重心を前に移す感覚

スタートで出遅れる子どもに共通するのが、「重心が後ろに残っていること」です。スタート時には、身体を“前に倒れそうなくらい”前傾させることで、地面への力の伝わり方が変わります。

壁を使って前傾姿勢を練習すると、「どのくらい前に倒れると、前に出やすくなるのか」が体感できます。

② 支持脚の“押し出す力”

走る時、前足で「蹴る」意識が強い子が多いですが、実際には後ろ脚で身体を“押す”力の方が重要です。

スタートの瞬間、後ろ脚がしっかり伸びて地面を押せているかがポイント。ここには股関節の伸展力や、片脚でしっかり立てるバランス力も関係します。

③ 上半身のリード(腕の“引き”)

多くの子どもは「腕を前に振ろう」としますが、実は「腕を後ろに引く」ことで体を引っ張る力が生まれます。特にスタートの瞬間は、後ろ方向への腕の動きで体幹が前に引き出されるように進みます。

「腕で体を引っ張るように」と伝えると、動きがガラッと変わることがあります。

■ 家庭や現場でできるスタートトレーニング

壁押し前傾トレーニング
• 壁に両手をついて、つま先荷重で前傾姿勢をキープ
• 重心を前に保ちながら、踵を軽く浮かせてみる

➡ 重心の位置・体幹の使い方の確認に有効

反応ダッシュ(合図でスタート)
• 「よーい…ピッ!」などで、子どもの反応を引き出す
• 最初は脱力、合図と同時に“ビュン”と出る感覚を育てる

➡ タイミング・瞬発力の習得に

片脚ジャンプ・ミニハードル越え
• 片脚で体重を支え、押し出す動きの強化
• 後ろ脚の使い方、股関節の動きの改善に

片脚前傾トレーニング
• 片脚で立って、前に軽く倒れる練習
• 支持脚の安定性と、前方への意識が育つ

■ 声かけのポイント:力より感覚を伝える

スタートの時、「もっと頑張って!」と声をかけてしまいがちですが、それよりも感覚を引き出す声かけが効果的です。

たとえば…
• 「もっと前に倒れても大丈夫だよ」
• 「今はリラックスして待ってて。音が聞こえたら出よう」
• 「足を出すんじゃなくて、押す感じね」
• 「腕をしっかり“引いて”みよう!」

といった言葉は、子どもが自分の身体の動きに意識を向けるきっかけになります。

■ まとめ:スタートを変えるには、身体の使い方を知ること

速く走るために大切なのは、「頑張ること」だけではありません。“どう身体を使うか”を知っているかどうかで、大きな差がつきます。

スタートは、その最初の一歩。
ただの“勢い”や“根性”ではなく、正しい準備・感覚・出力が合わさって、初めて「速さ」になるのです。

ぜひ今日から、子どもたちと一緒に「走り出す瞬間」に目を向けてみてください。
いきなり全てを意識するのではなく、1つ1つの動きを意識して丁寧に行っていきましょう。

のびのび

陸上競技の指導に21年携わる現役指導者。理学療法士。選手時代短距離で東海大会出場。怪我に悩む子ども達を支えたい思いから、身体の仕組みを深く学び続けています。「運動の楽しさ」と「自分の可能性」に気づいてもらいたい・・・そんな願いを込めて、保護者と子どもたち双方に役立つ運動・発達情報を発信中です。

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