『身長が伸びる時期』と『筋肉が育つ時期』は違う?

発育・発達と身体のしくみ

― 成長のリズムを知れば、子どもの将来が変わる ―

✅ 身長と筋肉、伸びるタイミングは一緒じゃない?

「ぐんぐん身長が伸びてきたから、今なら筋トレも効くんじゃない?」
「小さいうちから筋肉をつけた方が強くなるでしょ?」

そんなふうに考えたことはありませんか?

実は、身長が伸びる時期と、筋肉が発達する時期は“ズレ”ています。
このズレを知らずに早くから負荷をかけすぎてしまうと、思ったように体は育ちません。

🦴 身長が伸びるのは「骨」が成長しているから

子どもたちの身長が伸びるのは、骨の端にある「骨端線(こったんせん)」が伸びるからです。

この骨端線は軟骨でできていて、成長ホルモンなどの影響を受けて骨が縦に伸びていきます。
• 特に思春期(男子:13〜15歳/女子:11〜13歳頃)に伸びやすい
• 成長が終わると骨端線は閉じてしまい、もう伸びなくなる

☝️ポイント:

「骨が伸びて身長が伸びている時期」と「筋肉がつく時期」は、必ずしも同時ではないんです。

💪 筋肉が本格的に育つのは“思春期以降”

筋肉の成長には、筋繊維を太くする“ホルモン”の働きが欠かせません。
特に関係するのがテストステロン(男性ホルモン)です。


男子は中学生後半〜高校生以降に急激に分泌され、筋肥大が始まる
女子はエストロゲンの影響で筋肥大は緩やか(代わりに脂肪が増えやすい)

つまり、小学生のうちは「筋肉量」よりも「神経の発達」や「動きの質」を育てるべき時期なのです。

【図解で見る】縦の成長 vs 横の成長

年齢帯   骨の成長(身長) 筋肉の成長
0〜6歳   ゆるやか     ほぼなし
7〜12歳   徐々に加速    わずかに増加
13〜15歳  急激に伸びる   ここから本格化
16歳〜   徐々に止まる   筋肉はまだ増える

🟡 「縦の成長」が先にピークを迎え、「横の成長(筋力や体格)」は後からくるのが自然な流れ。

🚺 女子は「生理」がひとつの分かれ道

女子の場合、初潮(生理の開始)が“成長の終盤サイン”になります。
• 生理が始まる=体内でエストロゲンが増え、骨端線の閉鎖が進む
• 生理が来てから1〜2年で身長の伸びは止まりやすくなる

👉 最近は食生活や体脂肪率の変化で初潮が早まる子も増えています。
成長のチャンスが短くなってしまうリスクもあるため、焦らず「その子のペース」を大切にしたいですね。

🙅‍♂️「今のうちに筋トレすれば全部伸びる」は間違い!

身長が伸びている時期だからといって、無理な筋トレをすると逆効果になることもあります。
• 筋肉のつき方はまだ未熟
• 負荷が強すぎると成長軟骨や関節にダメージ
• 成長痛・スポーツ障害につながる可能性も…

💡 では、小学生のうちは何をすべき?

筋肉を大きくすることよりも、「使い方」を育てることが大切です。

✅ バランス運動・ジャンプ・スプリント
✅ ボール遊びや登り下りなど、神経系を刺激する多様な動き
✅ 十分な睡眠・栄養・休養で“伸びる準備”を整える

🧠 こうした経験が、中高生以降に「筋肉がつく土台」になります。

✨ まとめ:子どもの成長には“順番”がある!


• 身長(骨の成長)は思春期の初めがピーク
• 筋肉の成長は思春期後半〜高校生以降に本格化
• 女子は生理開始がひとつの転換点
• 小学生期は「育てる準備期間」!焦らず、その子のタイミングで

のびのび

陸上競技の指導に21年携わる現役指導者。理学療法士。選手時代短距離で東海大会出場。怪我に悩む子ども達を支えたい思いから、身体の仕組みを深く学び続けています。「運動の楽しさ」と「自分の可能性」に気づいてもらいたい・・・そんな願いを込めて、保護者と子どもたち双方に役立つ運動・発達情報を発信中です。

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